「で、今回出店する目的はなんだね」
「目的ですか?」
そんな当たり前のことを、なぜいまさら聞くのだろう。正雄は戸惑いを覚えた。
「出店すればロミーズの客を難なく取り込めます。念願の年商1000億円が達成できるではありませんか」
そう言って、財部はうやうやしく会長に頭を下げた。
「では、採決をとらせていただきます。千の端店に出店に賛成の方は挙手願います」
役員たちは一斉に右手を上げた。
だが、宗佑は腕組みしたまま手をあげようとはしなかった。顔には不快感がにじんでいた。
「会長、何かご不満でも?」
社長を息子に譲ったとはいえ、創業者である宗佑は、いまだに代表取締役会長として絶大な影響力を持っていた。
「年商1000億円が見えてきた?出店すれば客が取り込める?お前たちは何を考えてこの会社を経営してるんだ。ロミーズを乗っ取るんだ。そして、カッパーズを日本一のファミレスにする。1000億円は目先の目標にすぎん」
(次回は10月22日更新予定です)
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