写真:連邦準備理事会のパウエル議長Photo:Pool/gettyimages

―― 筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター

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 ウォール街の強気筋は青天井の株価上昇を歓迎し、ワシントンの政治家たちは巨額の財政赤字を苦にしていない。両者の思想は相反するものかもしれないが、重要な共通点がある。ほぼ0%の金利に支えられていることだ。ゼロ金利は株の価値をさらに高め、債務を一層維持可能にする。両者とも、この基本的に妥当な論理を極端な域に進めかねない。

 ハイテク株からテスラ株、ビットコインに至るまで、すべての相場の急上昇は、ウォール街で「TINA」と呼ばれるものの兆候を示している。TINAとは「there is no alternative(ほかに選択肢がない)」の略語だ。銀行預金の金利がゼロで、米国債の金利もほぼゼロの状況下で、投資家たちはリターンを求めてほとんどあらゆるものにすがろうとする。