さらに、税理士試験に合格しただけでは税理士資格は得られない。医師に研修医制度があるように、税理士も現場経験を積まなければならない。税理士事務所などで2年以上の実務経験を積んだ上で、ようやく日本税理士会連合会の名簿に税理士として登録される。そして、医師に医師免許があるように、税理士や税理士事務所にも登録番号が与えられる。

 しかも、ご存じのように、毎年の税制改正で税法は頻繁に変わる。事業の税務を請け負う顧問税理士であれば、所得税法や事業税についてチェックしているであろうし、相続税専門の税理士なら、相続税や贈与税の変更を常に把握している。実務を通して専門に関する節税のノウハウも身に着けることになる。

「社会に出て、職に就いてからのほうが勉強は大切」とはよく言われるが、実務を通して学ぶことは多い。

 どんな職業でもそうだろうが、経験と知識によって実力は異なる。同じ相続税専門の税理士でも、経験や知識の豊富さによって差異が出てしまう場合もある。

 そんなこともあってか、旧税理士法では、税務顧問報酬、税務代理報酬、不服申し立ての代理報酬、税務書類の作成報酬、税務相談報酬、調査立会い報酬、会計業務報酬、日当、旅費や宿泊料に至るまで細かく規定されていたが、税理士法改正に伴い廃止された。平成14(2002)年4月以降は、各税理士や税理士事務所が自らの能力に見合う報酬を自由に設定して良いことになっている。

 とはいえ、ご相談者やご依頼者の立場からすれば、料金は最も気になるところだろう。節税はできたが、法外な税理士報酬を要求されたでは割に合わない。また、税金を安く申告したがために、税務調査に入られたのでは、もっと困ったことになってしまう。

 特に相続税還付となると、一度は払った税金を取り戻そうというのだから、税理士の経験と知識がものをいう。しかし、経験や知識は目に見えるものではないので、その税理士の実力に見合う料金かどうか判断するのは難しい。

 そこで、最近では、相続税還付は成功報酬とする税理士や税理士事務所が増えてきた。資料作成や調査などの実費以外の報酬は、取り戻した還付金の額に応じて頂戴しますという方法だ。

 税理士報酬は、つい金額で判断しがちだが、税金が還付されなかったのに、報酬だけ取られるというのはあまりに理不尽だ。税理士にしてみても、相続税還付に成功しなければ無報酬になってしまう訳だから、真剣味が違う。

 もちろん、成功報酬でないと手を抜くという意味ではない。経験と知識を結集させ、必ず成果を上げてみせるという意気込みが違うのだ。