日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛けてきて、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」や新サービス「ペンギン村」の管理人を続ける、ひろゆき氏。
そのロジカルな思考は、ときに「論破」「無双」と表現されて注目されてきたが、彼の人生観そのものをうかがう機会はそれほど多くなかった。『1%の努力』では、その部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。
「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)
そう語るひろゆき氏。インターネットの恩恵を受け、ネットの世界にどっぷりと浸かってきた「ネット的な生き方」に迫る――(こちらは2020年3月13日付け記事を再構成したものです)
日頃から「本音」を言っているか?
本音を言うと、いろいろと面倒なことが起こる。敵を増やしたり、嫌われたり、炎上したりすることもある。
世の中には、「コミュニケーションコストを払う」ということを避ける人が多い。
コミュニケーションコストとは、ひと言でいうと、「言ってはいけないことを言うスキル」だ。
たとえば、知り合いから「僕の事業は、うまくいきますかね?」と聞かれたとする。
普通に考えて、「うまくいかないな……」と思った場合に、あなたなら、ちゃんとそれを伝えられるだろうか?
もちろん伝え方は、その人のキャラによる部分が大きい。やんわり否定したり、率直に切り捨てたり、伝えるための技術はいろいろとあるだろう。
ちなみに、僕だったら、「失敗しますよ」と率直に言ってあげるようにしている。
なぜなら、それが本当の優しさだと思うからだ。
うまくいかなそうなのに、「大丈夫ですよ! 絶対にうまくいきますよ!」と言ってしまうほうが残酷だと僕は思う。
なんでも言えるポジションをとろう
世の中、みんな本音を言わない。
「言ってはいけない」という空気が支配している。
そんな中で、本音をズバッという人がいたらどうだろう。
一気にポジションをとれる。
もちろん、好き嫌いで言うのではなく、根拠を提示したり、改善策を一緒に考えたりはする。ただ、無責任に「うまくいきますよ」とは言わないだけだ。
僕が人に本音を言えるのは、「最終的には謝れば関係を修復できる」と信じているからだ。
「うまくいきませんよ」と言った後で、もし、うまくいったとしたら、「あのときはごめんなさい」と言って謝れば修復可能で、それでも嫌味を言ってくるような人であれば、そういうタイプの人とは仲良くならないほうがいい。
もしあとになって間違っていれば、そのときは謝る。
そのリスクさえとれれば、いつだって思ったことを言えるはずだ。
「本音で言う。そして、ちゃんと謝る」
どうだろう。これほど単純なスキルは他にないかもしれない。
僕がイベントやテレビ出演の仕事に呼ばれるのも、すべては「本音が言える」という強みがあるからにすぎない。
それだけ、本音が言える人、言ってはいけないことを言える人は、ポジション的に重宝されるのだろう。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。新刊『1%の努力』(ダイヤモンド社)を刊行。