インターネット第一世代として活躍した西村博之氏、通称「ひろゆき」。日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛けてきて、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」や新サービス「ペンギン村」の管理人を続ける。
そのロジカルな思考は、ときに「論破」「無双」と表現されて注目されてきたが、彼の人生観そのものをうかがう機会はそれほど多くなかった。
今回の新刊『1%の努力』(ひろゆき)では、その部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。

「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
 つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
 ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
 そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)

そう語るひろゆき氏。インターネットの恩恵を受け、ネットの世界にどっぷりと浸かってきた「ネット的な生き方」に迫る――

自分でも勝てる場所はどこだ?

僕はいま、「4chan」という英語圏のサイトを運営している。

ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

2ちゃんねると同じく、誰でも簡単に書き込めて、アカウントがないのが特徴だ。
アカウント制だとフェイスブックが世界一で、ユーザーアカウントを取って1人ずつサービスを増やしていく手法をとる。
そういうサービスを作りたい会社は世界中にたくさんある。

一方で、みんなが匿名でダラダラ書き込むようなサービスは、トラブルが起こりやすいし、やってもしょうがないと思われている。
その場所なら、競争が少なくて、「自分でも勝てる」と踏んだ
日本の人口が減るということは、日本語を使う人も減るということだが、英語圏に広げると違う。
長期的に見ても、英語を使う人がいなくなることは考えにくいので、英語圏の匿名掲示板は、ダラダラと続けていける。
ある程度、規模が大きくなってしまえば、何もしなくても回っていくので、努力は不要だ。

僕は、そういう仕事の選び方をしてきた。
頑張って手に入れるという選択肢を選んだ瞬間に、それは絶対に他の人に抜かれる。

バブルで大儲けした人たち

仮想通貨バブルの前に仮想通貨を買っていた人は、ハッキリ言ってしまえば、何も頑張っていない。
なんとなく買っていたものが、たまたま高く売れただけで、なんの努力もない。

何かを成し遂げるとき、「どう頑張ったか」が100%必要であると認識されがちなのだが、たまたま日本人で生まれたら、ソマリアで生まれるよりラクであるというレベルの話で、努力で変わる部分は、実はものすごく少ない

頑張りによってすべてを変えられる「努力が報われる社会」であれば、もっと優秀な人が出てきて日本はいい状態に変わっていたはずだ。
しかし、そうなっていない。

それなのに、なぜ努力神話があるのだろうか。

それは、ごく一部だけ、「努力できる」という才能を持った人がいるからだ
その才能があれば、あらゆる競争に立ち向かうことができ、突破し、次第に勝つことに慣れていく。
受験競争を勝ち抜いて東大に入ったり、弁護士や公認会計士などの難関資格を取ることができたり、一部上場企業などに入ることができる。

それもこれも、努力できる才能があるからだ。
そして、僕にはその才能がない。