日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛け、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」や新サービス「ペンギン村」の管理人を続けるひろゆき氏。
早くも3万部を突破した新刊『1%の努力』では、そこに至る根っこの部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。
「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)
今回は、「ポジション取り」について語る――
「第三者」的になれるか?
僕は、システムを作らないといけないとき、調べながらコードを書いているときは集中する。やらざるをえなくてやってる最中は自分の中で楽しいと感じる。
ただ、今はコードを書くよりは、「企画」や「座組み」を作ることがメインになっている。
自分で手を動かさなくても、しゃべるだけで済むし、「あとはがんばってください」と言って投げることが増えた。
いわば、一般企業に置き換えると、出世して管理職の長になったようなものだ。その立場になっていった経緯から言えるのは、第三者的なポジションになれるかどうかがポイントだ。
全体を見て、「こうしたほうが効率よくできますよ」と提案するポジションをとるようにした。
上流から下流までを知っている第三者的なポジションが有利になる。
下っ端仕事でグチばかり言っているとしたら、一度、経営側として自分だったらどうするかを考える。
あるいは、店長のような立場だったら、現場の仕事で知らない部分がないかを考えてみる。
それだけで、あなたは頭1つ飛び抜けることができるだろう。
必要な3つの能力
特に、エンジニアの世界の場合、非エンジニアの人に現場のことを伝えるのは非常に難しい。俯瞰して見て、誰のメリットであるのかを相手にわかるように伝えるのは、とても苦労する。
だからこそ、仕組みがわかっていながら、口八丁手八丁で偉い人に伝えられるポジションは、おいしい。
つまり、第三者的なポジションをとるために必要なのは、次の3つだ。
「現場のリアル」と「経営側の論理」と「コミュニケーションコスト」。
普通、一般企業に入ったら、まずは現場の仕事をさせられる。そこで優秀な人が出世をして、徐々に経営側の論理に絡め取られていく。
そのときに、上と下をつなぐ中間管理職のような立場で、コミュニケーションコストを支払うようになる。
ここで多くの人は疲弊してしまう。
「やはり管理職は向いていないな」と思って、会社を辞めてしまったり、「現場のことはもうわからない」と言い出して、使えない上司になってしまったりする。
ただ、社会的に成功できるかどうかは、ここでの振る舞い方にかかっている。上や下に説明できる能力は絶対に磨いておこう。それこそが「1%の努力」なのだ。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。新刊『1%の努力』(ダイヤモンド社)を刊行。
主な著書に、『無敵の思考』『働き方 完全無双』(大和書房)、『論破力』(朝日新書)などがある。