日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛けてきて、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人などを続ける、ひろゆき氏。
10万部を突破したベストセラー『1%の努力』では、その部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。
「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)
そう語るひろゆき氏。インターネットの恩恵を受け、ネットの世界にどっぷりと浸かってきた「ネット的な生き方」に迫る――(こちらは2020年4月17日付け記事を再構成したものです)
「最初の実績」はめちゃくちゃ大事
仕事において成長曲線を描くためには、「最初の実績づくり」が目標となる。
いろいろ口を出せる立場になれるかどうかは、「実績」があるのとないのでは大きく違う。
悲しいが、これが現実だ。
僕の場合、最初の実績のために「論理的に説得すること」に重きを置いた。
趣味のゲームと映画にかなりの時間を割いていたので、エンタメの「おもしろさ」を語ることには自信があった。
大体のウェブサービスは、エンタメの要素がある。完全にツールになっているものは少ないので、おもしろいと感じる要素があるのだ。
過去に見てきたウェブサイトのインプット数が多いので、それを例にして論拠を出すようなことをしていた。
インプットの数を増やしておくしかない。それが、僕のバックグラウンドの部分だ。
「断られたとき」にどう振る舞うか
匿名掲示板の「2ちゃんねる」がそんなに有名じゃなかった頃に、似たような仕事を頼まれたことがあった。しかし、成功率は低かった。
論理があっても、聞いてくれる耳を持たれないとダメだった。
ということは、1つでも大きな実績があれば、かなり有利になるということでもある。
最初は、提案して断られて、提案して断られて、ということを何度も繰り返した。
ただ、歯を食いしばって痛みに耐えながらやったわけではない。好奇心が先にあって、すべての経営者の思考パターンを網羅するつもりで臨んだ。
そうすると、現場の仕事がラクになることより、経営者側が楽して儲かる方法を好むことが徐々にわかってくる。
どこに問題点があって、どこを詰めればいいのか。
その勘所を探る工程を楽しめるか。
テレアポのバイトと同じように、人をパターン化しながら、「こう聞けば、こう返してくる」というモデルを頭の中で作り上げていく。
それらをコンプリートする頃には、一気にすべての仕事がうまくいきはじめる瞬間があった。階段を行ったり来たりしていたのが、いきなりエレベーターに乗って最上階に到着したような感覚だった。
成功はじわじわ訪れるのではなく、加速度的に到達するものだ。
一発逆転は早々起こらない。そこに至るまでの「1%の努力」が大切なのだ。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、10万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。