米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルは、業界史上最も野心的とも言える販売目標を掲げ、社会的な責任を重視する投資家の獲得を図っている。フィリップ・モリスは、10日に実施した株主イベントで、グループ売上高におけるIQOS(アイコス)加熱式たばこなど無煙製品の比率を現在の24%から2025年までに50%超とする新たな目標を設定した。米国外で「マールボロ」ブランドを販売する同社は、睡眠を助ける植物性の製品や、呼吸器系を通して薬の投与ができる製品など、ニコチンを全く含まない商品にも進出する予定だ。たばこ企業は、たばこ株を積極的に購入しようとする投資家が減少している兆候を懸念しているが、これは当然といえる。バンク・オブ・アメリカによると、環境・社会・ガバナンス(ESG)基準に基づいて銘柄を選択するファンドには、2020年に1940億ドル(約20兆3000億円)の資金が流入したという。たばこ株の売却は目新しいことではないが、倫理的・道徳的な課題に積極的に取り組む企業に投資する「エシカルファンド」への資金流入は今や無視できないほど大きなものとなっている。ESGポートフォリオの組み入れ比率では、フィリップ・モリスとアルトリア(マールボロの米国メーカー)はいずれもアンダーウエート。
たばこ株はESG投資対象となり得るか?
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