その環境報告書はいつになく手厳しかった。中国国家能源(エネルギー)局が大気汚染規制を回避して過剰な石炭工場の建設を認め、環境問題を巡る習近平国家主席の指示に従わなかったと糾弾したのだ。中国生態環境部は先月下旬の報告書で、「国家能源局の同志の一部は、エネルギー部門の最重要課題は供給を確保することであり、行き過ぎた環境保護規制が企業の生産コストを押し上げると考えている」と結論付けた。こうした公然たる非難は極めてまれだ。中国共産党の中央委員会と中国国務院(内閣に相当)という最上層の二大組織が承認したこの報告書は、世界でも最悪水準の汚染国の環境規制当局に、旧態依然とした国内の石炭産業に対抗する権限を与えたとも読み取れる。