ドナルド・トランプ前米大統領に対する2度目の弾劾裁判は、劇的な結末で閉幕した。しかし、上院の共和党議員がトランプ氏の有罪か否かの問題だけでなく、党の将来とトランプ氏の役割についても分裂したことで、党内の深い思想的な亀裂が鮮明になった。共和党上院議員のうち7人が、トランプ氏が1月6日の反乱(暴徒らによる連邦議事堂襲撃)を扇動したとして、有罪の票を投じた。この7票は、トランプ氏を有罪にするには足りなかったが、民主党のチャック・シューマー上院院内総務が指摘したように、今回の最終的評決で、弾劾対象の大統領が属する政党議員が投じた有罪の票は、米国の弾劾裁判史上最も多かった。他の共和党上院議員(43人)は、トランプ氏は無罪との判断を示した。しかし彼らに不安がないわけではない。下院でも党の統制を乱したような党内の分断が、2022年、2024年の予備選挙で表面化する恐れがあるからだ。