日経平均3万9000円、
PER33.3倍で赤信号が点灯

 しばし現実から離れて理屈を考えると、金利は、金融緩和期には実質金利がマイナスになって名目金利が名目成長率を下回り、金融引き締め期には実質金利がプラスになって名目成長率を上回るのが「常態」だろう。

 いささか大胆な仮定だが、名目成長率と(自然に形成された)リスクフリー金利が同水準にあると考えてみよう。金融が緩和でも引き締めでもない架空の「常態」だ。一つの判断基準にはなるだろう。すると、益利回り(E/P)がリスクプレミアム(p)と等しくなる。

 この基準で考えると、益利回り5%であるPER20倍から「株価は高い」、益利回り4%に対応するPER25倍は「株価は大変高い」、益利回りが3%となるPER33.3倍は「株価はどう見ても高すぎる」、というくらいの“見当”を持つといい。「PERが25倍で黄信号、33.3倍で赤信号が点灯する」というくらいに考えておこう。

 過去の長い期間にわたって、米国ではS&P500種株価指数のPERが20倍を超えると株価が高値圏にあると言われてきたが、こうした経験則ともおおよそ整合的だ。

 株価が3万円を超えた週初2月15日終値で、現在の予想利益(日本経済新聞社発表)に対するPERは、日経平均に対して23.17倍、東京証券取引所第1部全体で25.48倍だ。おおよそ25倍だと考えると、現在、黄信号が点灯し始めたくらいの株価という判断になる。ごく大雑把には、3万円で黄信号、3万9000円で赤信号、というくらいに考えておくといい。

 もちろん、経済が成長し、企業の利益が伸びるなら、黄信号・赤信号がともる株価水準も上がっていく。

 なお、黄信号でも、さらに赤信号の水準になったとしても、一般論として個別株や投資信託などの形で持っている株式を全て売り払うような「調節」は「やり過ぎ」である。「赤信号まで来たら、1〜2割売るか」と考えて、実際には何もしないくらいでちょうどいい。

 細かい計算は省くが、株価に影響する3要素はいずれも予想外の変化があり得るものだ。そのため、人間にできる判断にとっての情報価値を考えると、この程度が妥当な調節の範囲なのだ。

 なかなかできないことだが、株価が上がっても下がっても、じっと眺めて自分にとって適当な大きさのリスクの分だけ株式を持ち続けるのが資産運用としては正解だ。