コスト削減の方法を誤ると
売り上げ低迷の悪循環に陥いることも
小宮コンサルタンツ代表
新型コロナウイルスの感染拡大により、中小企業の経営環境は厳しさを増していて、企業の疲弊は進むばかりです。
このようなとき、経営者は「コスト削減」を徹底しようと考えます。一言で言えば「ムダを省く」ということですが、やみくもに手を付けると、かえって、業績を悪化させることにもなりかねません。その例を、コロナ禍以前から業績低迷が続いている百貨店に見ることができます。
現在はお客さまの面前で販売員が決済端末を操作する仕組みも増えていますが、今でも、販売員がお客さまから現金やクレジットカードを預かり、奥にある集合レジまで持っていって処理をするところがあります。5分ほど待たされることもあります。
このような決済の仕組みを変えないまま、コスト削減の目的で販売員の数を減らしたため、決済の間に売り場から販売員がいなくなる「空白の時間」が生まれ、別のお客さまが長く待たされて不満を抱いたり、買わずに去って販売機会を逃したりするというケースが増えたのです。
「コスト削減の鉄則」を意識せず、コスト削減として手を付けやすい売り場の販売員から削減していったため、百貨店の顧客満足度が低下し、売り上げ低迷に拍車をかけるという悪循環に陥りました。