米国は19日、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に正式に復帰し、大半のメディアと欧州諸国はこれを歓迎した。われわれは、米国の復帰で一番喜んだのは中国だと思っている。中国政府は、これが米国のエネルギーを抑制し、今後10年間にわたる中国のただ乗りを許すことになると知っているからだ。パリ協定は強制力のない合意だ。各国はそれぞれの温室効果ガスの排出抑制目標を提示する。オバマ政権は、2025年までに排出量を2005年の水準から26%削減することを約束した。だがトランプ政権はパリ協定から離脱。ジョー・バイデン大統領は現在、「2050年までに排出量を差し引きで実質ゼロにする」ことを約束している。当時大統領だったバラク・オバマ氏と同様にバイデン氏も、パリ協定の条約としての批准を米上院に求めることなく、米国の同協定順守を約束した。両氏とも、上院で決して3分の2の支持を得られないこと、単純多数の支持すら得られない可能性が高いことを知っている。しかしバイデン政権は、化石燃料のコストを高め、再生可能エネルギーと電気自動車(EV)に補助金を支給するための広範な環境規制を正当化する理由として、パリ協定を利用するだろう。こうした措置の大半は、議会を迂回する形で進められるだろう。