中南米では、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で経済が疲弊し何十万人もの死者が出ており、こうした苦境から脱出する唯一の手段として、各国政府はワクチン確保に懸命になっている。しかしこれまでのところ、中南米諸国は米国の救いの手を求めるのではなく、世界戦略面での米国のライバルである中国とロシアに依存している。アルゼンチンとボリビアの当局は、ロシアが開発したワクチン「スプートニクV」の接種を開始した。同ワクチンは間もなくメキシコにも到着する予定だ。チリでは今月、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発したワクチン400万回分の接種が始まった。チリのセバスティアン・ピニェラ大統領は同ワクチンについて、パンデミックの苦境から脱するための希望をチリの人々に与えてくれたと述べている。ペルー国民は、中国医薬集団(シノファーム)のワクチンを積み込んだ民間機が今月到着したことを伝えるテレビ映像を目にして歓喜した。
新型コロナワクチン不足、中南米支援に中ロの思惑
中国とロシアに地政学上の優位性をもたらす
有料会員限定
あなたにおすすめ