昨年1月、米ノババックスの社員は地元のバーに集まり、今後の身の振り方を話し合っていた。この小さなバイオ医薬品会社は創業から33年を経ても、ワクチン開発で承認にこぎ着けたことがまだ一度もなかった。手元資金でしのげるのはせいぜい半年ほど。株価は4ドルを割り込み、時価総額も1億2700万ドル(約133億円)に減少した。そのノババックスの視界に、新型コロナウイルスワクチンの承認がはっきりと入ってきた。承認されれば、パンデミック(世界的な大流行)との闘いで強力な武器となり、競合他社のワクチンよりも利点がおそらく大きいと科学者は考えている。初期段階のデータでは、同社のワクチンが無症状のコロナ感染を抑制し、しかも予防効果が長期にわたり持続する可能性が示された。これは業界でも初の部類に入る。