中国の習近平国家主席が2020年までに地方の貧困を撲滅するよう指示して以来、同国南西部に位置する綿陽市の官僚たちは、文書業務で忙しくなった。勤務時間の70%を貧困撲滅キャンペーンに費やすよう指示された彼らは、指示に従っていることを証明する書式に念入りに記入した。この取り組みにかかわった法務担当の地元職員パン・ジア氏によれば、こうした対応は「証拠作り」の名で知られている。同氏によると、上層部から家庭訪問時の証拠写真を要求された際には、欠けていた冬の写真を補うため、夏の家庭訪問の機会に、何人かの補助作業員が防寒着姿になって写真に収まったという。習氏は、2012年11月に共産党総書記として権力の座に就いて以来、共産党の下での中央集権国家を作り上げるため、独裁的スタイルとトップダウンの手法によって中国の政治体制を刷新してきた。しかし、習氏の取り組みは旧敵と衝突することになった。その敵とは官僚主義だった。
習主席「中国の夢」 実現阻む官僚主義の宿痾
地方の官僚主義が貧困撲滅の取り組みの障害に
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