日本人が知らない「日本」のチカラ

「ハラル」で日本を元気にする(2)<br />「おまえ、いくつ?」からはじまった僕の学習今月10日にラザック現マレーシア首相から「もっとも輝かしいルック・イースト政策生」として表彰されたアクマルさん。(写真 The New Straits Times Press のホームページより転載)

 でも、日本人はそのアドバンテージ(優位性)にあまり気づいていないのかもしれない。もっと活かせるのに……、僕はいつも「もったいないなあ」と思っている。

 たとえば、日本の経済産業省が進めている「クール・ジャパン」戦略や、観光庁が行っている海外からの観光客誘致。僕が残念に思うのは、海外に向かって売り込まれるのが、いつも「日本人にとっていいもの」ばかりである点。本当はバイヤー(買い手)である「外国人にとっていいもの」を売り込まなくてはいけないのに、そこをきちんと把握できる日本人がいない。現地で行動していく人材が本当に不足している。

 日本企業は日本人の社員を海外のマーケットにたくさん送り込んでいるけれども、みんな日本人ネットワークから外に出ていかない。もっと、現地の人となかよくなって、彼らが何を考えているか、感じているかを知ろうとしない限り、バイヤーが本当に何を欲しがっているかはわからないはずだ。

 前回の記事(10月16日)に書いた通り、僕の会社〈マレーシア・ハラル・コーポレーション〉では、ハラル認定された日本の製品を海外に売り込むサポートをしている。その一環としてはじめたのが「アンテナショップ」。クアラルンプール、ジャカルタ(インドネシア)、バンコク(タイ)などの主要都市に牛丼やしゃぶしゃぶなどを味わえるアンテナショップを作り、現地の人に実際に食べてもらう。そうして、バイヤーが本当に欲しいと感じるものを把握して、「日本」の一番いいところを味わってもらう。魅力を伝えるには、このくらいするのがグローバル・スタンダードだと思う。

 マレーシア最大のショッピングモールであるミッドバレー内に2010年9月にオープンした「北海道市場」を見れば、日本人気がよくわかる。日本食が恋しい日本人だけでなく、現地の人で常ににぎわっている。「丼」をはじめとしたバラエティーに富んだメニュー、繊細なデザート、丁寧な接客は日本ならではのものだ。

 マレーシア人の憧れている雪国「北海道」を冠したネーミングもこのアンテナショップが大当たりした理由の一つだと思う。

 ちょうど今、「Made in Japan」の輸出に加えて、イスラム教徒をこの北海道に呼び込む新しい事業を展開している。日本の代名詞は京都のように日本人は思っているが、イスラム国の人々は雪に憧れている。つまり一番訪れたい都市は「北の大地、北海道」だ。

 しかし、彼らにとって日本は「行きたくても行けない国」となっている。それは、ハラル環境が整っていないためだ。僕の大好きな日本をもっとイスラムの人々に紹介したい、その解決策となったのが、この新規事業だ。北海道のホテルと提携して、ハラルメニュー、お祈りの場所を提供してもらう。もちろんその管理・監督・検査は僕の会社がハラル監査人として責任を持つ。

 アウトバウンド(日本→海外)では、「Made in Japan」を輸出、インバウンド(海外→日本)では、ハラル環境を整えてイスラム教徒の旅行者を呼び込む、これが僕が考える日本の活性化だ。