監査法人を変えていない「なれ合い危惧」企業ランキング【50年以上357社】最長はなんと74年間!Photo:DuKai photographer/gettyimages

監査証明業務において、最も重要なのは監査法人の独立性だ。ところが、全上場企業の継続監査期間を調べてみると、50年以上も同じ監査法人に監査を依頼している企業が357社も存在する。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#21では、その企業と監査法人をランキング形式でお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男、データ担当/同編集委員 清水理裕)

浮上するなれ合い監査の懸念
50年以上継続が357社も!

 上場企業にとって監査法人は、自ら作成した財務諸表に誤りがないか、会計基準等のルールにのっとっているかどうかチェックしてくれる専門家集団だ。もし誤りがあったり、ルールから外れていたりすれば、監査法人は企業側へ修正するように指摘する。一方で、監査法人にとって上場企業は、監査証明業務を依頼してくる顧客でもある。

 こうした一般の商取引に似た関係性がありながら、監査法人は顧客である上場企業に対して厳正な監査が求められる。場合によっては、財務上の数字を巡って丁々発止の激論を交わさなければならない。

 そこで気になるのが、上記のような関係性がある上場企業と監査法人が、なれ合いの関係性に陥っていないかどうかだ。

 一般的に、企業・法人間の取引が長くなればなるほど、双方の関係性は深まっていく。理解が深まることでビジネスや取引が円滑になることもあるが、なれ合いのリスクが高まる。

 それは上場企業と監査法人においても同じことがいえるだろう。そうした問題意識から、ダイヤモンド編集部は全上場企業の継続監査期間を調べた。すると、50年以上同じ監査法人に監査を依頼している上場企業が、357社あることが分かった。

 これまで不正会計事件が起こるたびに、上場企業と監査法人の関係性が深まり過ぎて、“なれ合い監査”が行われていたのではないかと、議論を呼んできた。そこで2015年に発覚した東芝の不正会計事件後に導入されたのが、担当する公認会計士のローテーションルールだ。大手監査法人では、監査を担当する期間を最長5年とするルールを運用している。

 ただし、監査法人の監査期間に関する規制は導入されていない。そのため、半世紀以上も同じ監査法人に監査を依頼している上場企業は357社に上るわけだ。次ページでその全企業名と監査法人名、継続監査期間を一挙公開する。

監査法人を変えていない「なれ合い危惧」企業ランキング【50年以上357社】最長はなんと74年間!