2025年5月12日にいよいよ60歳を迎えた奥田民生。本連載では奥田民生の10年ぶりの本『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』の中から、民生流の「心の持ち方、生きるヒント」を紹介する。NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」や吉川晃司との新ユニット「Ooochie Koochie」(オーチーコーチー)も話題の奥田民生は、これまでどのように考え、どのように働き、どのように周りとの関係を築いてきたのか。その頭の中をのぞいてみよう。(構成/ダイヤモンド社・石塚理恵子)

【NHK「鶴瓶の家族に乾杯」で話題】頭のいい人が「人と揉めない」たった1つの理由――奥田民生に聞く
Photo by Takahiro Otsuji

誰だって他人と揉めたくない

 職場でもプライベートでも、些細なことで他人と揉めることがある。

「そんなこと言っていないだろ?」「なぜそんなふうに思うのか?」「なんでわかってくれないんだ」

 他人への期待からか、そんな言葉が出ることがある。

 いつも自分は正しくて完璧なのかと問われれば、決してそうではないはずなのに、相手への甘えからかそんな言葉が口をつく。

 誰も他人と揉めることを望んでいるわけではないはずなのに。

自分も他人も大目に見るとラクになる

 歳を重ねると、自分のダメなところがどんどんわかる。

 運動神経にしたって、中学生の頃は「ひょっとしたら俺は150キロの球が投げられるかもしれん」ってどこかで思っていたと思うけど、大人になったら「やっぱり俺はそんな球は投げられない」とわかってくる。

 若いときにはわからなかったことや無理なことが大人になってわかってくると、できることよりできないことが多いことにも気づいてくる。

 そうやって人はだんだん自分に過剰な期待をしなくなる。

過度な期待はしない

 自分に期待をしないのだから、他人にも期待なんてしてはいけない。

 自分が他人に期待をしたら、他人も自分に期待する。

 俺が友達のいろいろを許すのは、「だから俺のことも大目に見てね」の先払いのようなものだと思っている。

「ありのまま」が友達といい関係を続けるコツ

 友達と長くいい関係を続けたいなら、自分同様、相手にも過度な期待をしないことだ。

 若い頃は大事な友達にこそ理想を押しつけるものだけど、大人になったところで完璧な人間なんて1人もいない。

 どんな大人にもダメなところはあるものだから、友達には特に変な理想を押しつけず「ありのままがいいじゃないの」と思っていると、長続きしやすい気がする。

人と揉める時間はムダ

 30代の頃はマネージャーと意見が合わないと、「そうじゃねえだろ!」とやり合った。

 でもそいつも俺も歳をとって丸くなって、いまではなにも言わなくなった。

 激しくやり合ったのはその頃くらいで、いまは配置替えもあってもう、ああだこうだ言うことはない。

 なにかあってもプロがやることだから基本的には任せているし当時もいまも友達だ。

大人になったら「ムダをやってる時間」はない

 いいことも悪いこともあるけれど年月は人を大人にする。

 そしてもはや俺には他人とのいざこざに使う時間はまったくない。

 30代、40代の頃はこんなことを思ったことはなかったけれど、この歳になると「俺たちじじいにそんなことをしている暇はない」と思うようになってくる。

(本稿は奥田民生『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』からの抜粋記事です。)