昨年は世界の経済大国の大半がマイナス成長となる中、アイルランドはプラス成長を遂げた。成功の背景には、低税率に引かれて同国に進出していた製薬およびハイテク企業の好調がある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で活況な業種だ。小国アイルランドは何年も前から、法人税率を低く抑えることで多国籍企業を呼び込んできた。フェイスブックやアルファベット傘下のグーグルなどハイテク大手が首都ダブリンに立派な欧州本社を構える一方、ファイザーやメルクの国際部門MSDなど製薬大手は大規模な工場を稼働させている。今や、これら好調なセクターが生み出す利益によってアイルランドの税収が増え、コロナに直撃されたその他大半の自国経済に対する多額の救済費用をまかなうのに役立っている。全体的に見れば、アイルランドの労働力の約4分の1が仕事のない状態だ。