宇治徳洲会病院は、一般の注射器では1瓶で5回しか接種できない新型コロナ用ワクチンを糖尿病患者向けのインスリン用注射器を使えば、7回接種できることを見いだして公表した。深刻なワクチン不足が懸念される中、大きな話題となる一方、批判の声も多く寄せられているという。そこで、改めて、その接種方法「発見」の経緯と普及の可能性や課題などについて、末吉敦院長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本猛嗣)
当初は「動物用の針」まで検討
インスリン用注射器に注目した理由
――そもそもインスリン用注射器を用いれば、7回接種できるというアイデアは、どんなタイミングで、誰が言い始めたのですか。そのきっかけは何ですか。
この方法を思いついたのは、院長の私です。宇治徳洲会病院でファイザー製の新型コロナワクチンと注射器、針の発送についてのお知らせを見たのが3月1日でした。そこで初めて1瓶で6人分用でなく5人分用の注射器しかこないことがわかりました。195瓶セットで計算すると975人分しかありません。ワクチン希望者は1250人で、「なんとか全員に接種できる方法はないか」と考えました。