北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の公式の伝記が出版され、韓国語版がウェブ上にアップロードされたと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。この伝記の著者らが、金氏を持ち上げていることは驚くに値しない。最終章(「主権と正義の基軸の下で世界を回す」)では、ドナルド・トランプ氏、習近平氏、ウラジーミル・プーチン氏、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領らと金氏が行った一連の首脳会談を称賛している。著者らは、こうした首脳会談の動きを要約して「わが国人民の偉大さと尊厳が全世界からこれほど注目された時代は、わが国5000年の歴史の中でかつてなかった」と褒めたたえた。彼らは間違ってはいない。国内総生産(GDP)が260億ドル(約2兆8000億円)以下と推計され、人口が2600万人の北朝鮮は、その実力よりずっと大きな影響力を示している。金氏は、自分が破綻国家のおかしな指導者だと考えてはいない。彼は、自分が勝者であり、非情なまでの献身的努力よって世界の超大国に対等の取引を強いてきた小国の、比類なき指導者だと考えている。