リアルなキャラクターを追求
編集者 齋藤先生と安住アナをマンガのキャラクターにするにあたってはどうでしたか?
百田 実在する著名人のマンガを描くのは初めてだったんですけど、マンガとはいえ読者の方々に違和感が生じたらダメだなと思ったので、最初に人物像をつかむのがとても大変でした。
「実際の齋藤先生はこういうことは言わない」「安住さんはこんな言葉を使わない」などと感じさせないように、あらためてその点を意識してラジオを聴いたり、出演する番組を探したりして、最初はキャラクターを探すのが一苦労でしたね。
最初のネームを描いたときに、「齋藤先生はもっとテンションが高い」というフィードバックがあり、「あ、違ってたんだな」と気づいて描き直しました。そうやってフィードバックをいただいたのが大きかったですね。自分だけの目線で進めていたら、違うキャラクターになっていたかもしれないです。
編集者 齋藤先生はテレビなどで見ると温和なイメージが強いかもしれませんが、実際にお会いすると温和でありながらもパワフルな印象があって、そういう快活な部分を出すと、よりリアルになるという意見をお伝えした記憶があります。
齋藤先生って、ずっと内容の濃い話をし続けられる超人的な人です。2時間なら2時間、3時間なら3時間、最初から最後まで同じテンションでずっと内容の濃い話をし続けられるんです。実際にお会いしてお話をうかがうと、テレビで拝見するイメージ以上に天才的で、お会いするたびに驚かされます。
長時間お話を聞いてもまったく飽きないですし、体感的にはあっという間なんですね。当たり前のように高次元のことをやっている人というのが、本当の天才なんだろうな、と。
渡辺『話すチカラ』は、本を書くことがレアな安住さんに言及されがちですけど、齋藤先生の存在感も大きいですよね。先生はよく「意味の含有率」という表現をされますけど、常に意味の含有率が高い話をされるので、マンガでもちゃんと意味のあるセリフを発しているんです。
あと、セリフについて言うと、安住さんが漢数字の読みについて独自の推理を披露する場面は、実際に安住さんが明治大学で特別授業をされたときの文字起こしをもう一度読み直して、できるだけ忠実に再現しました。最後に安住さんが美桜ちゃんを激励するシーンも、安住さんが実際にお話しした言葉をほとんどそのまま使っています。