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地方公務員採用試験の“常識”が一変したことで今、自治体への転職を目指す社会人の間で受験のチャンスを逃す人が増えている。連載『第二新卒から中高年まで必見! おいしい公務員試験』の#4では、激変する地方公務員採用試験の最新事情と共に、社会人が試験突破をするためのノウハウを伝授する、前編・後編のうち「前編」をお届けする。(「公務員のライト」専任講師 横溝 涼)
“常識”が覆った地方公務員採用の試験日程
2026年度から募集の「完全通年化」も登場
地方公務員への転職を志す社会人と面談していると、近年、ある共通した「戸惑い」を耳にする機会が増えた。
「いつ、どの試験を受ければいいのか分からなくなった」
「志望していた自治体の試験が、気づいたら終わっていてショックを受けた」
勘違いしないでほしい。これらの悲鳴にも似た相談は、決して本人たちの情報収集不足のせいではない。この数年で、地方公務員試験の「地図」そのものが、劇的に、かつ複雑に書き換えられてしまったからだ。
従来の公務員試験には、暗黙の了解ともいえる「カレンダー」が存在した。
春に願書を入手し、6月の「A日程」と呼ばれる統一日に全国一斉で教養・専門試験を受ける。夏に面接を重ね、秋風が吹く頃に内定が出る。このサイクルは、北海道から沖縄までほぼ全ての自治体で共通する「鉄の掟」だった。受験者は、書店に平積みされた対策本のスケジュール通りに学習を進めれば、迷うことなくスタートラインに立つことができたわけだ。
しかし現在、その掟は有名無実化している。3月や4月に筆記試験を行い、従来よりも早い時期に内定を出す「早期枠」が、政令指定都市や主要県庁を中心に急増しているからだ。さらに、かつてのような重厚長大な専門試験を課さず、SPI3やSCOAといった民間企業同様の適性検査のみで受験できる「特別枠」が次々と新設され、試験日程はかつてないほど複線化している。
2026(令和8)年度に向けて発表された最新の採用トレンドは、さらに衝撃的だ。一部の先進的な自治体が「募集の完全通年化(365日受付)」という、これまでの公務員採用の常識を根底から覆す仕組みを導入し始めたのである。「公務員試験は春に受けるもの」という固定観念を持ったままでは、気づいた時にはチャンスの半分以上を失う――。それが今の公務員転職のリアルだ。
この変化を、単なる「日程の前倒し」や「受験者減少への苦肉の策」と捉えるだけでは、本質を見誤る。その正体は、自治体側が従来の硬直的な選考方法を見直し、民間企業において第一線で活躍する層に対しても門戸を広げ、積極的に優秀な人材を確保しようとする「採用戦略の抜本的な転換」だからである。自治体は今、「待つ採用」から「攻めの採用」へと、そのスタンスを180度転換させている。
次ページでは、数多くの社会人を公務員へと導いてきた講師の視点から、早期枠の増加と共に、さらにその先にある「通年採用」の導入の裏側にある自治体の真の狙いを解き明かし、転職希望者が今備えるべき具体的な戦略を指南しよう。また、各自治体の早期枠の受験条件や試験内容などを記した一覧表も作成したので、ぜひ活用してほしい。







