4月スタート、値札の「総額表示」 が店にも消費者にも嬉しくない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

2021年4月1日から値札が変わる。消費税込みの「総額表示」が義務付けられるからだ。消費者にとっては、結局いくら払うのかわかりやすくなり、メリットもあるだろう。しかし、コロナ禍で店側にさらなる負担を強いることにならないだろうか。春から、消費がどう変わるか考えよう。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)

4月からどのように表示が変わるのか

 消費税込みの「総額表示」は急に決まった話ではない。

 もともと2004年より税込み価格での表示が義務付けられてはいたのだが、値札の貼り替え等の事務負担への配慮などから、国は「表示する価格が税込み価格であると誤認されないための措置」を講じていればいいでしょう、との特例を設けた。実際に支払うのが1078円だとしても、980円(税別)と表示すれば、しばらくはOKということになっていたのだ。

 その特例措置が2021年3月31日で切れる。4月からは、原則として税込み価格で示さなくてはいけない。国税庁によると「総額表示」の例は以下のようなものとなる。

11,000円
11,000円(税込み)
11,000円(税抜き価格10,000円)
11,000円(うち消費税額等1000円)
11,000円(税抜き価格1万円、消費税額等1000円)

 支払総額である「1万1000円」がきちんと認識できるなら、「消費税額等」や「税抜き価格」が表示されていてもいい。また、「1万円(税込み1万1000円)」とされた表示でも、消費税額を含んだ価格が明瞭に表示されていれば、「総額表示」に該当するという。

 消費者にとっては、結局いくら払うのかわかりやすくなり、その点はメリットといえるだろう。また、増税とは違い、もともと消費税を含んだ金額を支払っていたのだから、この変更により負担が増えるわけではない。

 しかし、コロナ禍で消費意欲が上がらない今、総額表示がスタートすることへのデメリットはないのか。身近な例から考えてみよう。