金融イノベーションも世の中に出たばかりのころは、ばかばかしく感じることが多い。一片のプラスチックで支払いをすることも、銀行の窓口担当者ではなく機械から現金を受け取ることも、市場に勝とうとするより、もうからない銘柄も含めて十把ひとからげで株を保有することも、最初はそうだった。しかしクレジットカードや現金自動預払機(ATM)、インデックスファンドのおかげで、金融は多くの人にとってより、簡単で、安全かつ便利になった。非代替性トークン(NFT)はここ何年かの間に現れた、この上なくばかげているように思えるアイデアの一つだが、同じように金融の世界を変えるかもしれない。NFTについてよく知らなくても、名前は聞いたことがあるだろう。そもそも買う人がどうかしているように見える。今年2月、ミーム動画の「ニャン・キャット」――胴体が「ポップ・ターツ(四角い形をしたお菓子)」の猫が虹を引きずりながら宇宙を飛んでいく動画――のNFTが50万ドル(約5440万円)を超える価格で売れた。ダンクシュートを決めるレブロン・ジェームズ選手の動画のNFTは20万8000ドルで買い手が付いた。今月11日にはクリスティーズで、ビープルというアーティストのデジタルコラージュのNFTが6900万ドルで落札された。
NFT狂騒曲、金融イノベーションとしての未来は
何世紀にもわたって市場を悩ませてきた問題を解決できるかもしれない
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