40年という歳月を費やしたものの、米連邦準備制度理事会(FRB)はついにインフレに対する懸念から脱却した。この方針転換が持つ意味について、市場の対応はまだ始まったばかりだ。このFRBの方針転換の大枠は、少し前から形を成し始めており、FRBはインフレ抑制という使命から、常に完全雇用の目標を強調する方向へと動いてきた。その間に、物価上昇の指標は平均値目標へと変わり、FRBはインフレ率が過去に目標値を下回った分を埋め合わせるため、2%の目標値を上回ることも容認する姿勢を示した。FRBのジェローム・パウエル議長は先週、この方向転換の最後の二つとなる対応について強調した。その一つ目は、インフレ率の将来の予想値ではなく、現在の実際のインフレ率を注視することだ。二つ目は、現在の株式市場の大幅な行き過ぎ状態と、最近の米国債利回りの上昇のどちらも気にしないということだ。