カズ(三浦知良)が、再び人々の熱い視線を浴びている。11月1日からタイで始まるFIFAフットサルワールドカップに出場する日本代表の最終メンバーに入ったからだ。
これが大きなニュースになっているのは、カズのネームバリューや、45歳8ヵ月という年齢に対する注目だけではない。
カズといえば思い出されるのが、1998年フランスW杯直前での代表メンバーからの落選だ。それまで日本代表のエースストライカーとして数多くのゴールを決めてきたし(W杯アジア予選での総得点は27、国際Aマッチの総得点は55)、代表の実力向上、注目度アップにも大いに貢献。日本代表が初めて出場権を得たフランスW杯でも当然エースとして活躍するものと思われていた。しかし、意外にも最終メンバーから落選してしまう。岡田武史監督から「外れるのは北沢、カズ、三浦カズ…」と発表された時は誰もが耳を疑ったものだ。
そのカズが、フットサルという別のカテゴリーではあるもののFIFA主催のW杯に日本代表として初出場することになった。やっと世界一を決める舞台で日の丸をつけたブルーの代表ユニフォームを着てプレーできるのだ。こうした紆余曲折のストーリーも含めて、ファンはカズに注目しているのである。
今回のカズの代表入りには批判もなかったわけではない。フットサルはサッカー同様、手を使わず足や頭などを使ってボールをコントロールし相手ゴールに入れることを競う競技だが、異なる点も多い。基本的に室内で行われ、ピッチやゴール、ボールなどの大きさもひとまわり小さい。プレーヤーはゴールキーパーを含めて1チーム5人で試合時間は20分ハーフ。選手に求められる技術も戦術などもサッカーとは大きく異なる。
カズはフットサルが盛んなブラジルでプロ選手のキャリアを積んでおり、フットサルをプレーした経験もあるはずだが、やはり本職は11人制サッカー。ここでいくら輝かしい実績を積み上げきたスターだからといって、フットサル日本代表メンバーに抜擢するのは飛躍が過ぎる。「話題づくり」、「人寄せパンダだ」といった声が出るのも無理はない。また、W杯で出場選手登録されるのは14人(ベンチ入り12人)。カズがここに入ることによって、フットサル専門でやってきた選手一人分のW杯出場の夢が断たれるのだ。