日本中を歓喜させたワールドカップ獲得から6日。なでしこジャパンの選手たちは所属クラブに戻り、早くもプレーを再開した。

 なでしこリーグの注目度も急上昇。とくに澤穂希をはじめ大野忍、川澄奈穂美、近賀ゆかり、海堀あゆみ、高瀬愛実、田中明日菜と7人もの日本代表選手を擁するINAC神戸レオネッサと丸山桂里奈が所属するジェフユナイテッド市原・千葉レディースの試合は日本女子リーグ史上最多の1万7812人の入場者を集めた。「W杯以前」のリーグ戦1試合平均の観客数は800人弱だったから、22倍以上になったわけだ。世界一効果恐るべしである。

 この盛り上がりはすぐに終わるという指摘もあるが、女子サッカーの場合、当面は大丈夫だろう。世界一になって注目度がアップした先例には北京五輪で金メダルを獲った女子ソフトボールがある。金メダル効果で五輪直後の日本女子ソフトボールリーグには大勢の観客が集まった。今回のなでしこフィーバーと同じ状態といっていい。だが、女子ソフトの場合、その後日本代表が世界と戦う機会がしばらくなかったし、五輪の正式競技から除外されるという逆風もあって、いつの間にかブームも沈静化してしまった。

女子サッカーはW杯後も
五輪予選やリーグ中継で注目度は高い

 だが、女子サッカーの場合は間を置かず9月1日からロンドン五輪アジア地区最終予選が始まる(11日まで・開催地中国山東省)。日本、オーストラリア、中国、韓国、北朝鮮、タイの6ヵ国が総当たりで戦い上位2チームが五輪出場権を得ることになっており、世界一になったなでしこジャパンとはいえ、対抗心むき出しで挑んでくる国を相手に決して気の抜けない戦いが続く。その準備や戦いぶりは常に報道され、女子サッカーに対する人々の興味が途切れることはないのだ。

 また、今回の快挙を受けて衛星放送の「スカパー!」では急遽、なでしこリーグの試合を無料で生中継することを決定した。7月24日に行われたINAC神戸-ジェフ千葉戦を含めて3試合(残りは7月31日、8月13日の2試合)だが、反響があれば今後もリーグ戦中継が継続的に行われるだろう。その意味でも女子サッカーには追い風が吹いている。