『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、どんなチームや企業にも存在する「組織文化」をテーマに、それを知り、変え、進化させていく方法を紹介しています。「組織文化」とは何か明確に定義できる人は少ないはずです。そこで今回からは、組織文化について『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』の中で私がどのように定義をしたのか、お伝えしていきます。
組織文化とは何か。
この言葉そのものを知らない人はほとんどいないでしょう。ところが、改めて「組織文化について定義せよ」といわれると説明できるでしょうか。
何となくそれらしい定義はできても、その本質まで表現できる人は少ないはずです。それは、これまで組織文化について意識的に考える機会がほとんどなかったためです。
知ってはいても、概念としてはつかみ切れないような状態で多くの人の頭の中にあるのが組織文化という言葉です。そこで『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、組織文化についてさまざまな角度から定義しています。
土台にあるから見えづらい
組織文化を定義する前に、まず組織文化が組織の中で働く人々に及ぼす影響について簡単に説明します。
通常、人は行動の5割から9割を無意識に行っているといわれています。
物理的な環境、その場の雰囲気、どの国に生まれたか、どんな地域で生活しているか。多様な要因に影響を受けた結果、人間はほとんどの行動を自動的な反応、つまり無意識下でしています。
組織も同じように、目に見える環境と目に見えない環境が影響し合い、最終的にその場の組織文化をつくりだします。
それを踏まえて、下の図をご覧ください。
ピラミッドの最上位に位置するのが、組織の成果です。これは言い換えれば利益や株価、時価総額といった最も数値に換算しやすく、見えやすいものです。
企業が存続するには成果が必須となります。
その次の層が、成果を生みだす製品やサービスで、こちらも可視化できます。
この下の層には、製品やサービスを生みだす人の行動や言葉、習慣などがあります。組織に属する人の日常的な言動や習慣は可視化されやすいものの、組織の中では当たり前になっているので、普段は意識しにくいものです。
言動や習慣の下にあるのが仕組みや制度といった組織運営のルールです。言動や習慣と同じように、仕組みや制度を毎日意識している人はほとんどいないでしょう。しかし実際には、このルールに人々の言動や習慣は大きな影響を受けています。
給与や昇進・昇格の条件、副業や働き方のルールは、組織で働く人の意思決定に影響を与えます。「何をすれば評価されるのか」「どんな結果を出せば給料が上がるのか」といったルールが働く人に影響を与えている、といえばわかりやすいでしょう。
こうしたルールを生みだす企業の最下層にあるのが組織文化です。組織文化は、組織の内部にいても外部から見ても、ほとんど目に見えることはありません。通常は意識することもないでしょう。
ところが、組織文化は組織の土台にあるで、組織のルールや働く人の行動や言葉、習慣、そこから生みだされる製品やサービス、成果など、あらゆるものに影響を与えます。それもこれらは厳密に境界線があるわけではなく、それぞれが重なり合っています。
組織文化とは、普段はあまり意識されないものの、組織のあらゆるものに影響を及ぼす価値観のこと。表現を変えれば、組織を動かすOSのような役割を果たしています。
(『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』第二章より抜粋、2021年3月31日公開記事へ続きます)
本書『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』の読者のみなさんと、組織文化についてともに学び、成長するコミュニティ「ウィニングカルチャーラボ」を運営中です。興味を持ったらぜひコミュニティにも参加してください。