『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、どんなチームや企業にも存在する「組織文化」をテーマに、それを知り、変え、進化させていくための方法を紹介しています。今回お伝えするのは、「幸せな会社」の組織文化を構成する3つの要素について。たった3つ、ある要素があれば、その企業には幸せな組織文化が宿るといいます。一体、何でしょうか。

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『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』を出してから、イベントや取材などでさまざまな業界の第一線のプロフェッショナルたちと対談を重ねています。その縁で、先日は幸福学の日本第一人者である慶応義塾大学の前野隆司教授とお話をしました。

 対談の中で、私は前野教授にこう問いかけました。

「幸福度が高く、業績も良い会社に共通する組織文化はありますか」

 前野先生は幸福学を軸に、幅広い企業の経営者や従業員の取材し、幸福度と業績の関係性などを研究しています。そんな前野先生ですから、すぐに答えを教えてくれました。

 幸福度の高い企業に共通する組織文化の要素が「あいさつ」「掃除」「コミュニケーション」だというのです。

 まず、気持ちのいいあいさつができる会社は幸福度が高く、業績も良い傾向があるそうです。私自身、いろいろな企業を訪問することも多く、前野先生のこの言葉には深く納得しました。

 先日、取材で訪れた産廃物のリサイクル化率98%を達成する産業廃棄物処理の先駆的な企業の石坂産業では、社長をはじめ、従業員のみなさんが本当に気持ち良くあいさつをしてくれました。

 次に掃除。これを自分たちで実践できている会社は、幸福度も成果も高いそうです。今はアウトソースの時代になり、オフィスの掃除を外部業者に委ねる企業も多いはずです。確かに掃除をアウトソースできれば、便利ではあるでしょう。

 しかし、あえてそれを自分たちで実践することの大切さを、これらの企業はきっと、気づいているのではないでしょうか。

 これはスポーツの世界でも同様です。強いチームほど、自分たちでロッカールームや遠征先の部屋を整え、荷物なども自分で運んでいるのです。例えばラグビー界の常勝集団、ニュージーランド代表のオールブラックスは、遠征先でも自分たちで荷物を運びます。空港では監督みずからブレザーを脱いでネクタイを取って、荷物を運び、移動もほぼ自分たちで済ませています。

 自分たちにできることを、みんなで楽しみながら実践することができれば、シンプルなようですが、それはとても幸福なことだでしょう。

 3つめの要素がコミュニケーション。経営者と従業員や、従業員同士が、まるで家族のように気持ち良く、密にコミュニケーションを取れている企業は幸福度が高く、成果も出やすいそうです。

 あいさつ、掃除、コミュニケーション。こうした当たり前のことを、誰からも強要されることなく、みんなが自然にきている。無意識のうちにできていることが重要なのだそうです。

 前野先生の話を聞いて私は非常に納得しました。気持ちのこもったあいさつが交わされ、環境がきれいに整って、家族のようなコミュニケーションが取れる場は、とても気持ちのはずです。そんなところで働いていれば、パフォーマンスが上がるのも当たり前ではないでしょうか。

 あいさつや掃除、コミュニケーションが当たり前のように実践できるようになるには、まずは社長みずから社員に対して気持ちのこもったあいさつを続けること。本来、業務ではない領域だからこそ、リーダーは指示や命令ではなく、率先してみずから鏡となる必要があるのです。

 スポーツの世界では、競技ではないところを「オフ・ザ・フィールド」と呼びますが、その領域も同じように、キーパーソンがみずから見本を示さなければなりません。簡単には結果が出なくても徹底して続けていく。そうすると徐々に全員があいさつをするような組織文化が定着するのです。

 非常にシンプルなことだけれど、まったくそうした要素のない会社があいさつと掃除、コミュニケーションを組織文化に根づかせようとすると、非常にハードルが高いはずです。

 またビジネスパーソンにとっても、役職があがるほど、つい人にしてもらうことが当たり前となってしまいます。けれど、これでは幸福度を高めることはできません。

 幸せを維持する組織文化に必要なのは、みずから率先して心のこもったあいさつをして、掃除をして、コミュニケーションを豊かにすること。それに尽きます。

 あなたは日頃、あいさつをしていますか。みんなが使うスペースを自分で片づけたり、掃除をしたりしていますか。そんな第一歩を、踏み出してみましょう。

(本記事は、音声メディア「Voicy」の中竹竜二さんのチャンネル「成長に繋がる問いかけコーチング」の2021年3月12日配信分「幸せな会社の組織文化とは?」を記事化しました)

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