クレディ・スイス、防げなかった2つの巨大危機Photo:Chris J Ratcliffe/gettyimages

 スイス金融大手クレディ・スイスのトマス・ゴットシュタイン最高経営責任者(CEO)は昨年のトップ就任以降、最優先課題の1つとしてリスクテークの抑制に取り組んできた。だが、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントと英金融ベンチャーのグリーンシル・キャピタルという、2つの巨大危機に直撃されるのを未然に防ぐことはできなかった。

 株主はアルケゴスの投げ売りで数十億ドルの損失が発生する可能性に身構えている。30日には、イメージ悪化を理由に、クレディ・スイスの投資判断引き下げが相次いだ。

 損失拡大への懸念から、クレディ・スイス株は下げが続いており、年初来では10%下落した。15%の値上がりとなっている国内競合のUBSグループと明暗が分かれている。

 クレディ・スイスは、アルケゴスの持ち高解消による損失がどの程度に膨らむのか、正確な数字は明らかにしていない。だが、事情に詳しい関係者によると、同社は今週、さらなる詳細を明らかにする見通しだ。29日の発表では、予想される損失が1-3月期(第1四半期)の業績に「極めて著しい」影響をもたらす恐れがあるとしていた。