障害年金受給者の10人に1人が
20代の若い世代という事実
年金というと、「老後にもらうもの」というイメージが強い。だが、公的な年金保険には、老後の生活を支える「老齢年金」、加入者が死亡した場合に残された家族に給付される「遺族年金」、病気やケガをして一定の障害が残った場合に給付される「障害年金」の三つの保障がある。
障害年金とは、病気やケガが原因で一定の障害が残り、生活や仕事が制限される状態になった場合に支給されるものだ。原則的に、初診日(その障害の原因となった病気やケガではじめて医師の診察を受けた日)から1年6カ月たった日の障害の状態で、もらえる年金の等級などが判断される。
障害年金は、事故や病気で手足を切断したり、失明したりするなど、体に重い障害が残った人しか対象にならないと思われがちだが、内臓疾患や精神疾患、がんによる障害も対象で、給付範囲は意外と幅広い。
老齢年金は、原則的に65歳以上にならないともらえないし、遺族年金は扶養家族がいなければもらえない。だが、病気やケガは年齢や性別に関係なく誰にでも起こるうるリスクで、若い世代でも障害年金を受給する可能性はある。
「年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)令和元年」(厚生労働省)によると、障害年金の受給者数は厚生年金、国民年金合わせて209.6万人。このうち、24歳までの人は9.2万人、25~29歳までの人は11.9万人で、障害年金を受給している人の10人に1人は29歳以下の若い世代の人だ。
年齢に関係なく、障害を負う可能性はあるが、障害年金をもらうためには、次の保険料納付要件のいずれかを満たす必要がある。
・初診日がある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上、保険料を納付(または免除)していること
・初診日が65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
一定期間、保険料を納めた実績がないと、万一の時の給付を受けられないので、20歳になったらきちんと手続きをしておきたい。
とはいえ、国民年金の保険料は月額1万6610円(2021年度)。学生にとっては高額だ。そこで、「学生納付特例」という制度を設けて、保険料の支払いを猶予している。