テレビのニュース番組はここ数カ月間、有名人らが真面目な顔で腕に注射針を刺される様子を伝えてきた。ジョー・バイデン大統領や米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長などのさまざまな著名人が、ワクチン接種の模様をテレビ放映するのを認めてきた。新型コロナウイルスワクチンの注射について、視聴者の懸念を緩和するのがその目的だったが、それは逆にワクチン接種をためらわせることになるかもしれない。これまでの研究では、注射針に対する恐怖感が、常にワクチン接種への大きな障害になってきたことが示されている。ある研究によれば、成人の約24%、子どもの63%が注射針を怖がっていた。旅行者向けクリニックによる別の調査では、11~80歳の人々の約22%が注射を恐れており、全体の8%が自らの注射への恐怖感について「理由は分からない」と説明したという。オーストラリアのプライマリーケア(初期治療)患者を対象とした調査でも、同様の傾向(注射を怖がる人の比率は22%)が見られた。