高級EV(電気自動車)の新興メーカー、米ファラデー・フューチャーは、製品開発の期限を守れず、負債が膨れ上がり、幹部を競合する新興EVメーカーに奪われた。創業者は、自己破産を機に最高経営責任者(CEO)を退き(まだ経営幹部の一人ではある)、中国では上場企業を運営することを禁じられている。
だが創業7年の同社は、新しい経営陣のもと、数週間のうちに米市場で株式公開を完了する構えだ。時価総額は34億ドル(約3700億円)に達するとみられる。過去に苦境を味わい、車を1台も販売していない新興企業がまたしても運命を変えることになる。
ファラデーは、明確な実績のないEV新興企業が、未来の交通というビジョンに基づいて何億ドルもの資金を調達し、株式を公開する最新の事例だ。そこには特別買収目的会社(SPAC)と呼ばれる人気沸騰中の投資手法が大きく関わっている。
こうした新興企業はSPACを通じて、公開市場の投資家やアマチュアの株式トレーダーの間で高まるEVへの熱意を取り込める。この熱意を後押しする理由の一つは、気候変動の問題や二酸化炭素排出量を制限する新規制で、EVの需要が長期的に加速するとの見方だ。ファラデーは1月、SPACのプロパティー・ソリューションズ・アクイジションと合併することで合意し、10億ドル以上の資金調達を目指すと発表した。