菅首相の決断により
対中姿勢は次の段階に

 ところが、今回の日米首脳による共同声明に台湾問題が明記されたことで、中国に対抗することが明確になった。これまで中国の立場を守ってきた二階氏も、今回は了承せざるを得なかったということになる。

 その予兆はあった。二階氏は4月15日に収録されたCS番組内で、東京五輪について「これ以上とても無理だということだったらこれはもうスパッとやめなきゃいけない」と述べて、「オリンピックでたくさんまん延させたということになったら、何のためのオリンピックかわからない」と新型コロナウイルス感染拡大による五輪中止の可能性に言及したのである。

 これは大きなニュースとなり、海外メディアの一部も「日本の有力政治家が五輪中止の可能性を示唆」と大きく扱っている。

 それもそのはず、二階氏はこれまで一貫して五輪の実行を明言してきた政権の姿勢に異を唱えて、わざわざ「政府・与党間の不一致」を演出したわけである。

 これは菅政権内で、親中派の二階幹事長が「気にくわないこと」が行われたことの表れではないだろうか。あくまで筆者の考えにすぎないが、今回の共同声明に先立ち、台湾問題の明記を認めざるを得なかったことへの「腹いせ」のように思われる。実際、二階氏は過去においても不満があると表に出すことが多かったからである。

 あるいは、東京五輪をいったん否定することは、中国に太いパイプがあることを自負する二階氏にとって、中国への何らかのサインを送ることになるのかもしれない。

 ただし、二階氏も「何が何でも開催するのかと問われれば、それは違うという意味で申し上げた。安全・安心な大会の開催に向け、しっかり支えていくことに変わりはありません」と文書で述べて、CS番組内の発言は本意ではなかったと釈明している。