半導体を巡る台湾の「地政学リスク」、日本企業はビジネスチャンス到来
台湾の地政学リスクが無視できない状況にまで高まっている Photo:NurPhoto/Gettyimages

台湾海峡における中国の軍事的プレゼンスは一段と増し、米国にとっての台湾の地政学リスクが無視できない状況にまで高まっている。そのような中、バイデン政権は米国の自動車と半導体関連企業に加え、台湾TSMCや韓国サムスン電子の幹部と会談し、協力を求めた。世界的に半導体不足が深刻化する中、日本の半導体関連企業にとっては大きなビジネスチャンスが到来している。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

サプライチェーンの再構築を意図し
米バイデン政権が半導体主要企業と会合

 4月12日、米バイデン政権は、半導体サプライチェーンの再構築のため、同分野の主要企業などと会合を開いた。その背景の一つは、半導体分野における中国に対しての優位性維持の問題だ。

 米国はIT分野で中国の台頭を抑えて、覇権国としての地位を守ろうとしている。それに加え、中国の軍事的プレゼンスの高まりに伴う、台湾の地政学的リスクの上昇がある。

 台湾には、世界最大の半導体ファウンダリー(受託製造企業)であるTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company/台湾積体電路製造)など、大手半導体メーカーがある。その台湾が中国軍の侵攻を受けるようなことがあると、当然、大手ファウンダリーなどの活動は制約を受ける。そのことは、米国内の半導体を使う企業群にとって大きな支障をもたらす。

 そうした事態の発生を避けるために、バイデン大統領は関連企業の経営陣を集めて、台湾などに大きく依存しないサプライチェーンの構築を意図したのである。

 その状況下、わが国では、ルネサス エレクトロニクス(東京都江東区)が急ピッチで生産体制を復旧し、車載半導体の供給再開を目指している。同社にとって足元の世界経済の環境は、大きなビジネスチャンスといえる。

 独自の生産技術を磨き、シェアを獲得してきたわが国の半導体関連企業にとっても、米国が半導体生産力の引き上げに本気で取り組み始めたことは、大きな追い風だ。

 今後、IT先端分野を中心に米中対立は先鋭化するだろう。政府は新型コロナウイルスの感染対策を徹底しつつ、安全保障面で米国との関係を強化し、企業のモノづくりの力をサポートすればよい。

 それとは対照的に、中国寄りの政策を進める文在寅(ムン・ジェイン)政権下の韓国半導体産業にとって、米中対立はより強い逆風となる。