F社労士からのアドバイスを受けたE課長は、翌日、早速実行に移すことにした。

 E課長はA、Bを出勤させ、リモートハラスメントとオンラインで新入社員への教育を行う際の注意点に関する勉強会を行い、その後CとDの教育について進捗状況の再確認とその後の検討を行った。その結果、以下の方針が打ち出された。

○教育担当者を入れ替える。AがD、BがCの担当者とする。
○E課長とA、B、C、Dは週1日社内に集合し、実地指導の場を設ける。
○リモートワーク中でも課内全員で朝礼を行う。
○CとDにはオンライン日報を提出してもらい、A、BだけではなくE課長や他の先輩課員も目を通し、適宜フォローを行う。
○AとBが課内でのオンライン新入社員歓迎会を企画する。

 翌週、Dの教育担当となったAは、最初は指導がうまくいくかどうか不安で、様子見しながらDに接していたが…。

「A主任!今日の夜、リモート飲み会しましょうよ!彼女に振られた者同士、慰め合いましょー」
「ああ、いいよ!」

 Dはとにかく物おじしない性格だった。ミスを注意しても気にせずどんどん質問するし、仕事の合間の雑談では別れた彼女の話で盛り上がり、すぐに二人は打ち解けた。CもBが教育担当になってから退職の意思はなくなった。Aはそれを聞いて安心し、教育に対する自信を取り戻した。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人名は全て仮名とし、一部を脚色しています。