Cは総務の仕事は好きだったが、グイグイタイプで感情表現がはっきりしているAが苦手だったのだ。しかしそのことを同僚やE課長、先輩たちの誰にも相談できずどんどん気分が落ち込んでいった。

新人Cが体調不良で休み、いら立つA

 4月下旬の月曜日。Aが始業前にパソコンを開くとE課長から、Cが体調不良のため会社を休むとの連絡メールが入っていた。心配したAは、Cに様子を聞こうとCのパソコンや業務用の携帯に数回アクセスしてみたが返答はなかった。

 午後になると、「俺がこんなに心配しているのに返答なしとは生意気な野郎だ!」と立腹したAは、緊急用として聞いていたCのプライベート携帯に電話をかけた。そしてCが出ると、

「会社を休むんだったら、E課長ではなく教育係の自分に連絡してこい!」などと一方的にぶちまけた。しかし、Cは次の日もAに連絡せずに欠勤した。

 そして水曜日。AのパソコンにE課長からメールがあった。

「C君が会社を退職したいそうだ。理由を聞いたが話そうとしない。A君、何か心当たりある?」
「えーっ!」

 驚いたAは、Cに事情を聞こうとしたが、パソコンや携帯等は全部ブロックされていた。

 E課長にそのことを報告すると、E課長は、

「C君から『Aさんと話したくない』と申し出があったので、私がパソコンと携帯をブロックするように伝えたのだ」と言い、当面Cとは直接連絡を取らないようにと付け加えた。E課長はさっきのCとの会話で「退職したい原因はAにあるのではないか?」と感じたのだ。

板挟みになるE課長、社労士に救いを求める

 その日の午後、E課長はCとオンライン面談を行い、再度退職したい理由を尋ねた。最初はうなだれて何も話そうとしなかったが、E課長に促されるとAに対して常々思っていたことを話し始めた。

 そして最後に、

「仕事は好きですが、A主任に嫌われてしまいました。いじめられるのはつらいので会社を辞めます」と半泣き状態になった。