F社労士の説明を聞いたE課長はうなずいた。

「では、教育担当者が新入社員に接する際、どんなことを心がければ良いでしょうか?」

<オンライン指導の方法>
○説明をする際は、不明瞭な発音や早口、きつい口調は避け、言葉の意味を理解できるように話すこと。
○社内指導では、例えば業務の手順について「これをしてから、あれをする」など指示代名詞を使って説明しても意味がわかるが、オンラインの場合は手順を具体的にきちんと言語化し、聞き手にわかりやすく伝えること。
○チャットでの説明や指導は、要点をわかりやすくまとめ的確に指示すること。また読む相手のことを考え長文は避け、文調も辛らつ、冷たい雰囲気にならないようにすること。
○WEB画面は顔が目立って映るため、表情によっては相手を不安にさせてしまう場合があることを認識すること。
○お互いの心理的な距離感がつかめないため、相手のプライバシーに踏み込む話題には特に注意すること(軽い冗談でも場合によってはハラスメントを受けたと取られてしまうことがある)。

 説明を終えたF社労士はさらに付け加えた。

「上の例ですと、AさんがCさんに対して、別れた彼女の話を持ち出してからかうのはセクハラとなる可能性があります」
「その件については早急に手を打ちます。あと、会社として行うことはありますか?」

会社がこれから対応すべきこととは?

○Cの教育担当者をAから他の社員に変更する。その処遇によってCが退職を思いとどまる可能性がある。
○E課長とA、Bでミーティングを開き、C、Dの教育について進捗状況の確認と以後の教育方針について話し合い、共有する。また、他の課員のフォローも仰ぐ。
○E課長とA、Bには、オンラインでの教育方法に関する内容とハラスメント防止(特にリモートハラスメント)の研修を受けてもらう。