10月25日、石原東京都知事は、「たちあがれ日本」(平沼代表)を足場に、石原新党を立ち上げて次回衆院選に臨む姿勢を明らかにし、知事を辞任する考えを示した。石原知事は、「大眼目は官僚の硬直した日本支配を壊していくことだ。原発とか、消費税とか、大事な問題かもしれないが、ある意味ではささいな問題」と述べ、「日本維新の会」(橋下代表)や、「みんなの党」(渡辺代表)との大連合、第3極の集結を呼び掛けた。足元の「たちあがれ日本」をはじめとして、「日本維新の会」や「みんなの党」には、一部、戸惑いが拡がっているという。わが国の政党政治は、一体、どこへ向かおうとしているのだろうか。
第3極がなぜ注目されるのか
ところで、第3極とは何か。普通に考えれば、2大政党である民主党(野田首相)と自由民主党(安倍総裁)に対峙する政党、即ち、公明党(山口代表)や、国民の生活が第一(小沢代表)、日本共産党(志位委員長)、社民党(福島代表)なども、第3極に含めて考えるべきだが、わが国のメディアは第3極という言葉を、どうやら自民党と長く共闘関係を続けて来た公明党と、日本共産党と社会民主党の左翼2政党を除いて使っているようだ。
好意的に解釈すれば、それには、既成政党に飽き足らず、わが国を覆う閉塞感を何とか打破したいという願望が、恐らく込められているのだろう。政権を担う力量が不足していると報じられることの多い民主党にも、3年前の総選挙で政権を失った反省が(例えば、候補者の世襲問題等)、ほとんど活かされていないように見受けられる自民党にも、ほとほと愛想を尽かした市民が、両党にお灸を据えたいという気持ちも痛いほどよくわかる。
しかし、仮に、第3極が大連合して、多数を制したとなれば、この国はどうなるのか。第3極は、参議院でわずか15議席(みんな8、維新4、たちあがれ3)しか持っていないのだ。第3極が、例えどのような政策を打ち出すにせよ、参院で第1党の民主党(88議席)か、第2党の自民党(83席)と組まない限り、何一つ実行できないという冷厳な現実を、私たちは忘れるべきではないだろう。