参議院議員選挙が終わったと思ったら今度は都知事選挙である。我々市民は選挙を通じて政府を創っていくのだが(知事は直接選挙、首相は議院内閣制を通じた間接選挙という違いはあるが)、今回は、市民と政府の関係を今一度原点に立ち戻って考察してみたい。
「政府」は公共財・
公共サービスの提供から始まった
東京は世界の首都の中でも清潔で美しい町だ。それは何故か。毎日のようにきちんと清掃(ゴミ集めを含む)がなされているからだ。ところで、今からベンチャー企業を興して東京の清掃を行いたいという人は、まずいないだろう。そんなことをしても儲からないことが分かっているからだ。このように人間社会を維持していくためには必要不可欠だが誰もがやりたがらない仕事を、一般には公共財・公共サービスの提供と呼んでいる。
そして、人間は、公共財・公共サービスの提供(給付と呼んでもいい)を行わせるために政府を創ったのである。では、そのための財源はどうするか。近代国家では、原則としてその地域に住む人々から強制的に集めることにしたのである。それが税金である(社会保険料はいわば目的税の一種であって、広義では税金に含まれる)。ここから「負担(税・社会保険料)が給付(公共財・公共サービスの提供)である」という原則が生まれる。政府を維持する費用を考慮すると、「給付は負担の枠内でしか行い得ない」ということもよく分かるだろう。
小さい政府の原点を
募金で考えてみよう
街頭で募金を呼びかけている。アフリカの子どもたちにミルクを贈るという。あなたは100円を募金した。その内、いくらぐらいがアフリカの子どもたちに届いてほしいと思うだろうか。70円~80円は届いてほしいと思う人が多いのではないか。20円~30円でいいと思う人はきっと少ないに違いない。これが「小さい政府」の基本的なコンセプトである。つまり、負担も給付も双方ともできるだけシンプルに設計して、「間に立つ政府のオペレーションコストをミニマムにしよう」とする考え方が世界では一般的なのだ。