米最大の石油パイプラインが週末、サイバー攻撃を受けて稼働停止を余儀なくされたことは、国内のエネルギーを動かす老朽化した脆弱(ぜいじゃく)なインフラに対して、サイバー犯罪者が、いかに広範な脅威となっているかを示している。米石油パイプライン最大手のコロニアル・パイプラインは7日、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)を使ったサイバー攻撃を食い止めるため、メキシコ湾岸からニューヨーク都市圏までガソリンなどの燃料を輸送する全長約8850キロメートルのパイプライン全体の稼働を停止した。複数の関係者によると、これまでのところ、パイプラインを動かす重要な制御システムへの侵入を示す証拠は発見されていない。ただ制御システムにまでウイルスが侵入した場合、各エネルギー企業にとって悲惨な結果となる。サイバーセキュリティーの専門家によると、パイプラインや製油所、発電所を制御する機械の多くは、耐用年数を過ぎており、高度な攻撃に対する防御策がほとんどなく、機器が操作され損害を被る可能性がある。