金融バブルを良く知る人々にとって現在の状況は、かつて目にした多くの要素を含んでいる。株価が示すバリュエーション(企業価値評価)は、2000年のドットコム・バブル以来の高水準に達している。住宅価格は、金融危機以前のピークの水準に戻っている。ハイリスクの企業は、史上最も低い金利で資金を借り入れることができる。個人投資家は、グリーンエネルギーや仮想通貨に大量の資金を注ぎ込んでいる。デジタルコマースの進歩から財政支出に支えられた経済成長まで、現在のブームには幾つかの妥当な説明を付けることができる。米国の成長率は、1983年以来の高水準になるとみられている。しかし、このブームには、最も際立った要因が1つある。それは連邦準備制度理事会(FRB)だ。金融緩和政策は、これまでも常に金融ブームを刺激してきた。そして現在の政策は著しく緩和的だ。FRBは過去1年間、政策金利を0%付近に維持してきた。そして、今後少なくとも2年間は金利水準を変えないことを示唆している。FRBは何千億ドルもの債券を購入しており、その結果、10年物米国債の利回りはインフレ率を大きく下回っている。それはつまり、実質利回りが大幅なマイナスだということだ。そうした状況は、今回を含め過去40年間でたった2回しか起きていない。