経済や市場をかき乱している現在のインフレ圧力は、経済が完全に再開し、新型コロナウイルス禍が終息に向かえば恐らく緩和されるだろう。しかし水面下では、これまで長期にわたってインフレを抑制してきた力が反転し始めている。その中で最も重要なのが人口動態だ。世界1位と2位の経済大国・米国と中国が発表したばかりの国勢調査によれば、過去10年間の両国の人口増加率は、高齢化と出生率の急低下を受けて、ここ数世代で最も低くなった。出生率の低下で、より多くの女性が労働市場に参入することが可能になり、当初は労働力の供給拡大につながった。しかし米国と中国では出生率の低下が極めて長期間続いたため、こうした人口動態上の恩恵は、かなり以前に使い果たした。そして現在、米中はその悪影響に直面している。労働力の供給が減少しているのだ。
世界の労働力不足で賃金上昇、インフレ加速へ
米中で進む出生率低下と高齢化で生産年齢人口が減少
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