「コロナ禍で運動不足になって太ってしまった……」とお悩みの人も多いだろう。薄着になってボディラインが見えやすくなる夏に向けて、少しでも痩せたい。そこでポイントになるのが「下半身」。全身の筋肉量の6~7割が集まっている下半身を鍛えれば、痩せやすい体質になる!
そこで参考にしたいのが、『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)、『金スマ』(TBS系)、『体が硬い人のための柔軟講座』(NHK)などに出演し、青山学院大の箱根駅伝連覇を支えたフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏の著書『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)だ。
本書は、運動するのが苦手な人や嫌いな人、中高年はもちろん高齢者でも、「これならできそう」「続けられそう」と思えて、何歳からでも体が若返る秘訣を明かした1冊。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、下半身を鍛えて太りにくい体づくりの方法を紹介する。

(監修:田畑クリニック院長 田畑尚吾 医師)

【『世界一受けたい授業』で話題】<br />フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一が教える<br />「中年太りする人」と「中年太りしない人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

下半身の筋肉が減ると
30代から中年太りが増えてくる

【『世界一受けたい授業』で話題】<br />フィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一が教える<br />「中年太りする人」と「中年太りしない人」の決定的な違い中野ジェームズ修一
「理論的かつ結果を出すトレーナー」として数多くのトップアスリートやチームのトレーナーを歴任。卓球の福原愛選手やバドミントンのフジカキペア(藤井瑞希選手・垣岩令佳選手)、マラソンの神野大地選手の個人トレーナーほか、数々のオリンピック出場者を指導する。2014年からは青山学院大学駅伝
チームのフィジカル強化も担当。自身が技術責任者を務める東京都・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」は、無理なく楽しく運動を続けられる施設として、幅広い層から支持を集め活況を呈している。著書は『10年後、後悔しない体のつくり方』(ダイヤモンド社)など多数。

30歳を境に、1年ごとにじわじわと体重が増えてくる「中年太り」が増えてきます。

男性の場合、「BMI」(Body Mass Index=体格指数)が25以上の「肥満」とされる割合は、20代では27%くらいですが、30代では32%、40代では35%へと増加します。

女性の場合、20代の肥満は6%未満と少ないのですが、30代は14%、40代は17%、50代は22%へと段階的に増えてきます(厚生労働省『平成29年 国民健康・栄養調査』より)。

下半身の弱体化が肥満に直結する

中年太りの理由は人それぞれですが、共通の要因としてあげられるのが、運動不足による下半身を中心とした筋肉の減少です。

大きな筋肉が集中している下半身は全身の筋肉量の50~60%が集まっていますから、下半身の弱体化はNEAT(ニート=非運動性熱産生)の減少に加えて、全身の筋肉量の減少に直結するのです。

なぜ筋肉が減ると太りやすくなるのか?

筋肉量の減少が、なぜ肥満と関係しているのでしょうか?

筋肉は運動しているとき以外、安静にしているときでも、ある役割を担っています。それは、体脂肪を原料に熱を生み出して「体温」を保つ役割です。

私たちは運動をしていないときも、エネルギーを消費しています。それが「基礎代謝」です。体温の維持、脳の活動、血液循環や代謝を担う心臓や肝臓といった臓器の活動など「生命維持」のために消費されるエネルギーです。

基礎代謝は、1日に消費しているエネルギー代謝の60~70%を占めています(本書70ページ参照)。その基礎代謝の20%前後を担っているのが、体温を保つ筋肉の活動なのです。

ですから、運動不足で筋肉が減ると、基礎代謝もニートも1日の消費エネルギーも減ります。「筋肉が減ると代謝が下がる」とよく見聞きしますが、その理由がこれです。

筋肉が1kg減ると、どのくらい体重は増えるのか?

筋肉が1kg減ると、基礎代謝は1日20kcal前後ダウンします。筋肉の減少で基礎代謝がどれくらい落ちるかには諸説ありますが、その中間値をとると1日20kcal前後なのです(これには筋肉そのものの代謝以外にも、筋肉の活動と表裏一体の肝臓などの活動の影響も加味されています)。

仮に運動不足で筋肉が毎年1kg減ってしまうとしましょう。これでどのくらい体重が増えるかをシミュレーションしてみます。

筋肉が1kg減って、代謝が1日20kcal落ちると仮定すると、1ヵ月で20kcal×30日=600kcalも基礎代謝がダウンします。体脂肪は1kgあたり7200kcalですから、体脂肪換算で、1年間でちょうど1kg太る計算です。

下半身の筋肉を鍛えて中年太りをストップ

これは単純計算ではありますが、30歳を超えてから1年で1kgずつ体重が増えたと振り返る私のクライアントも多く、それは筋肉の減少を加味すると納得できる話なのです。

前回の記事で紹介したスロースクワット&スローランジで、下半身の筋肉の衰えにストップをかければ、基礎代謝の低下による中年太りにブレーキがかかります。逆に筋肉を1kg増やせたら、1年で1kgずつ痩せられる可能性だってあるのです。

※本稿は、『10年後、後悔しない体のつくり方』より一部を抜粋・編集したものです。本書には、他にもカラダが若返る方法がたくさん掲載されています。