5月17日の取引で金価格が上昇し、約3ヵ月ぶり高値を付けた。米国債利回りの低下、インフレへの警戒感、アジアでの新型コロナウイルス再拡大の懸念などを背景に、ゴールドが買われている。「ゴールドが近い将来最も有力な投資先の1つになる」と提唱するのは、YouTube再生回数1億回を超える人気投資家の高橋ダン氏だ。著書『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』では、ゴールドに投資する根拠から投資の実践方法まで余すことなく語った。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。
恐怖指数(VIX)を確認する
次に、相場全体の状態を見ます。
そのために使うのがボラティリティ・インデックス(VIX)という指数です。
VIXは、今後の市場のボラティリティを指数にしたもので、別名「恐怖指数」とも呼ばれ、市場に参加している人たちの不安の大きさを表す指数として使われます。
VIXが上がるということは「これからボラティリティが大きくなる」と予想する人が増えているということです。
ボラティリティが大きくなるということは、値動きの方向性が不透明な状態で大きく変動するということですから、このことから、投資家が市場の動向を不安視している、つまり、恐怖を感じていると見ることができるのです。
VIXと金価格の関係は、金が「有事の金」であり、相場環境が悪化するときに買われることが多いため、相関性があるといえます。
たとえばコロナショック前後のチャートを見てみると、相場が安定しているときには20前後で推移しているVIXが、コロナショックで80以上まで上がっていることがわかります。
さらにさかのぼれば、リーマンショックが起きた2008年から2009年にかけて急騰していることがわかります。
これらはいずれも金価格が上昇したときです。
その関係性を頭に入れた上で、経済ニュースなどによってVIXが上がり始めているのを確認したら、短期で金を買うチャンスと考えてよいでしょう。
その際に1つ注意したいのは、これはあくまでも「金を買うチャンス」であり、それがいつも「金以外の貴金属を買うチャンス」にもなるとは限らないということです。
なぜなら、銀、プラチナ、パラジウムは、金と比べると株式相場との相関性がやや高く、相場が不安定になるほど相関性が強くなる傾向があるからです。
そのため、VIXが上がり、株価が下がりつつあるときは、金が上がる一方で、銀、プラチナ、パラジウムが下がる可能性はあるのです。
(本原稿は『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』からの抜粋・編集したものです)