パートナーシップは本当に難しい。付き合いはじめの恋人だけでなく、長年連れ添った夫婦であっても、「自分ばかりががんばっている」「こんなに愛しているのに、どうして同じように愛してもらえないのか」などと不満を感じてしまう人は多いようだ。パートナーの些細な言動でイライラしたり、すぐ不安になってしまう……という人にぜひ読んでほしいのが、2021年4月14日に発売後、ネット書店、リアル書店で売り切れが続出、1ヵ月経たずに3刷重版が決定した『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著 藤田麗子訳)だ。
原著は韓国で2020年7月に発売。発売後5ヵ月で6万部を突破し、韓国の大手書店でもベストセラーランキング入りしている。日本の読者からも「このタイトルは私そのもの」「すべての文章が刺さった」「大切な人にプレゼントしたい」と共感・絶賛の声が相次いでいる。
著者のクルベウ氏は事業に失敗し、自分を励ますためにSNSに投稿していた癒しの言葉が多くの共感を集め、2015年に作家デビュー。処女作『心配しないで』はBTSのファン感謝イベントでJ-HOPEから「メンバーのJINにおすすめしたい本」として紹介され、ファンの間で「BTSおすすめの作家」として話題に。クルベウ氏は韓国では著書累計55万部を突破するなど、「韓国のSNS作家として一番人気」との呼び声も高い。
「自分らしく、豊かに生きるためのヒント」が詰まった本書。今回は、日本版から「恋が重くなる瞬間」について、一部抜粋・編集して紹介する。
こんなに愛しているのに…
ひとりの女がある男をとても愛していた。
ふたりは恋人同士でお互いを想い合っていたが、時が過ぎるにつれて男の気持ちは冷めていき、女は男をますます好きになっていった。
男が女に愛情表現をしなくなり、愛していると口にしなくなっても、女は男に好かれていると必死で信じ込み、男にあらゆることを合わせて、そばにとどまった。
しかし、時が経てば経つほど、さみしさはどんどん募っていった。
女は自分の気持ちをわかってもらえず、自分へのイライラと怒りが湧いて、傷つくことが多くなり、いつしかそれが当たり前になった。
男の元を離れたいが、別れてしまえばひどく悲しくなることがわかっていたし、男のことを好きすぎて離れることができず、ガマンし続けた。
そのうち結局、男から一方的に別れを告げられた。
女は筆舌に尽くしがたい悲しみに浸り、しばらくはまともに食べることもできなかった。
最初は男のことを恨んだが、次第に自分の努力が足りないせいで、別れることになったのかもしれないと後悔の念にさいなまれるようになった。
自分が誰からも愛されない人のように思えて、多くの問題を抱えているような気がした。