若者の「恋愛離れ」が取り沙汰されて久しい昨今。調査によれば「交際経験なし」の増加は事実のようだが、恋愛そのものへの欲求が消えたわけではない。ネットやSNSで誰とでも出会える時代に、なぜ若者は「出会いがない」と嘆くのか。(清談社 藤野ゆり)

「出会いがない」のは
本気で臨んでいないだけ

調査によれば「交際経験なし」の増加は事実です。
「恋人がいない」と回答した人で「恋人が欲しい」と思っているのは半数以上。恋愛への欲求がなくなったわけではなさそうだ Photo:PIXTA

 若者の恋愛離れが加速している。今年1月、ブライダル総研が「恋愛・結婚調査2019」の調査結果を発表した。全国の20~40代の未婚男女2400人を対象にしたこの調査で、恋人がいる人の割合は32.1%。恋人がいない人の割合は67.9%と約7割に及んだ。

 この中で特に注目したいのは、男性20代の約4割が「交際経験がない」と回答している点だ。女性20代の「交際経験なし」が約2割という点を踏まえると、若年男性がいかに恋愛に消極的かがわかる。

 また、「恋人がいない」と回答した人で「恋人が欲しい」と思っているのは半数以上。若年層ほどその割合は高くなっており、経験は少ないものの、恋愛そのものへの欲求がないわけではないようだ。

 恋人がいない理由については、男女ともに「出会いがないから」という理由が最多に挙げられた。しかしアプリやネットで広範囲のつながりを持てる時代に、「出会い」そのものを求めることはそう難しくないはず。若者の恋愛離れの背景にある「出会いがない」は、一体なぜ起こるのか? 

 年間約1000件のカウンセリング実績を持つ結婚相談所マリーミー代表の植草美幸さんは、「いつでも出会える」という環境がそろっているからこそ、恋愛のチャンスを逃しているのではないか、と話す。

「相談を聞いていても、恋愛に不慣れな男女が増加しているなと感じます。SNSやネット上で間接的にコミュニケーションが成立する時代に、画像やスタンプ等でのやり取りに終始するだけでは、対面へのハードルは上がるばかり。いざ会っても距離感がわからない、意思を伝える、受け取るという当たり前のことができないなど、コミュニケーションは以前より複雑化しています。その上、いつでも誰とでも会おうと思えば会える、という安心感が逆に足かせとなって、出会いを求める行動力がそがれてしまっている印象です」

 出会う機会は増える一方で、直接的コミュニケーションのハードルは上がり続ける。さらに「家と家を結びつけるお見合い」や「世話を焼いてくれる近い関係性の存在」が激減した影響も大きいと植草氏は分析する。そこに拍車をかけるのが「1人のほうが気楽」と恋愛、結婚そのものを面倒と思ってしまうパターンだ。

「厚生労働省の『人口動態統計』によると、1970年代前半に100万件を超えていた婚姻件数は2018年までに40万件も減り、もはや半分に近い水準まで落ちこんでいます。 『男性の所得減少や経済不安』『女性の社会進出の加速による未婚という選択肢の一般化』によって、今や交際、そして結婚は『強い意思を持って臨まなければ実現できないこと』になりました」

 立派な学歴やキャリア、性格、自立心を持っていても、誰とも交際しない男女がいるのは、「強い意思を持ってまで出会いを求める必要性を感じられない」ということなのだ。時代の流れとともに生じた、恋愛も結婚も「本気で望まないとできないもの」という質的変化。この変化に認識が追いつかない人たちが、「出会いがない」の一言で片付けているのである。