木造は22年で耐用年数が尽きてしまう

 新築鉄筋コンクリート造のケースなら、仮に竣工から10年で売却したとしても売却益が大きく取れる。

 つまり市場価値から残債を引いた額だ。そして担保余力も十分出てくるため、銀行から次の融資も受けやすく、資産拡大のための次の一手が格段に打ちやすいのだ。

 この好循環に乗ってしまえば、資産は雪だるま式に拡大してゆく

 新築鉄筋コンクリート造の安定した高価格での売却が叶う原理は、下の式にヒントがある。

 RC造中古のケースは、たとえ10年ものの中古だとしても、次の購入者も高い担保価値のおかげで残りの耐用年数(47年―10年=37年)以内の長期優良ローンが受けられるため、キャッシュフローを十分期待できるからだ。

 では木造新築の場合はどうだろう? 木造は22年で耐用年数が尽きてしまうため、22年で土地のみの担保価値となってしまう。

 また、仮に10年目に売却をしようとしても、次の買主が30年などの長期融資が受けられず、最悪は耐用年数の残りの12年などの期間での融資となってしまうため、次の買い手が年数を追うごとに付きづらくなる。

 こうなってしまっては利回りがかなり高くないとキャッシュフローが出ずにほとんどの個人投資家は手が出せなくなってしまう。先ほどの図で表現すると、2段目右の木造新築Caseである。これだと不動産評価額も残債に近づいてしまっている。

 つまり、いつ売却しても売却益がほとんど出ないのだ。

上田真路(うえた・まさみち)
建築家・不動産投資家
KUROFUNE Design Holdings Inc. 代表取締役CEO
ハーバード大学デザイン大学院で不動産投資と建築デザインを学び、投資理論とデザインの力を融合させたユニークな不動産投資を行う。
鹿島建設入社4年目に不動産投資を開始。数々の不動産投資セミナーに足を運び、不動産関連書籍を数十冊読破。そんな中で出会ったメガ大家集団をメンターに持ち、指導を仰ぎながら不動産投資をスタートする。最初に行った東京・神楽坂での新築マンション開発では超狭小地に苦労し、辛酸を舐めつつも独自の不動産投資スタイルを確立する。現在5棟の超優良物件を保有。保有物件の中では投資額が4年間のうちに26倍になったものもある。
1982年高知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科、同大学院卒業後に鹿島建設入社。
大学院卒業時にリゾートホテル開発プロジェクトにより早稲田大学小野梓芸術賞を受賞。
同社では国内外で建築設計や大規模な都市開発業務に従事。鹿島建設社長賞、グッドデザイン賞、SDレビュー賞などを受賞。2016年、ハーバード大学デザイン大学院(GSD)へフルブライト留学。2018年、GSD不動産デザイン学科を卒業、外資系不動産ファンドでの投資業務を経験した後、KUROFUNE Design Holdings Inc.(デザイン事務所兼不動産ファンド会社)を創業し独立。現在はハーバード学生寮生活で得た原体験をもとに、住まいと学びを融合させた国際学生寮「U Share」を開発運営する。また、慶應義塾大学SFC特任講師、早稲田大学特任講師として「不動産デザイン」について教えている。初の著書に『ハーバード式不動産投資術 資産26倍を可能にする世界最高峰のノウハウ』(ダイヤモンド社)がある。